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サントリー新商品「ザ・モルツ」のCMからわかる3つ(+α)のこと。

saburo

今月8日より、サントリーは1986年から発売していた「モルツ」を全面刷新して「ザ・モルツ」として生まれ変わらせて発売を開始します。
それに伴って「EXILE TRIBE」を起用したCMを公開しました。
アサヒ・キリンの二大巨頭が君臨するビール業界で、ビール系飲料の課税出荷数量シェアでは3位についているサントリー。
昨年過去最高のシェア率を更新したサントリーが、満を持して発売したこの「ザ・モルツ」のCMからはいろいろと読み取れることがあります!

ザ・モルツ『カウンターの男たち1』篇 15秒 ~男たちのカンパイ!~ EXILE TRIBE サントリー ビール CM (詳細)

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HA
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感動!
ザ・モルツ『カウンターの男たち1』篇 15秒 ~男たちのカンパイ!~

まずはサントリーの意気込みという点から。
このCMの主コピーとなっている「ドライに生きて、楽しいか。」に注目してください。


勘のいい人はピーンと来たかもしれません。
ここの「ドライに生きて、楽しいか。」というコピーの裏には「アサヒのスーパードライを飲んで、満足か。」という業界トップへの挑戦状が込められているのです。


もちろんサントリー側としては、山田真二常務が語っているように「人と人とのつながりがドライになっていることが、若年層のビール離れの背景にある。皆で仲良くやろうという意味だ」(朝日新聞より)という”建前”があるようですが、このコポーにはサントリーがこの商品にかける思いがよく表れているように思います。


ビール類の出荷は10年連続過去最低を記録しており、ビール市場は「ゼロサム市場」となっています。つまり他社の顧客を奪わなければシェアが獲得できないという状況なのです。そんな中、この挑戦状はアサヒだけでなく2位のキリンをも脅かすものとなるでしょう。

ザ・モルツ『カウンターの男たち2』篇 15秒 ~仲間と飲むとウマイ!~ EXILE TRIBE サントリー ビール CM (詳細)

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ザ・モルツ『カウンターの男たち2』篇 15秒 ~仲間と飲むとウマイ!~


さて次は「ザ・モルツ」自体の製品についてです。
この商品は、350ミリリットル缶で店頭想定価格220円程度ですので、いわゆる「スタンダードビール」に分類されます。競合商品は前述したアサヒのスーパードライや、キリンの一番搾りですね。
サントリーの主力商品は店頭価格260円程度の高価格帯ビール「ザ・プレミアム・モルツ」ですが、そこからある程度のカニバリゼーション(共食い)が起こるのも想定済みのようです。(20%前後の客が移ると予想されています)


味の面では、苦みやコクそして”うまみ”(UMAMI)にこだわっているとのこと。これも辛口やキレが特徴のスーパードライとは好対照です。
CMでは「UMAMIが、きた」とのテロップも流れますが、実は「UMAMI」は日本特有の味覚とされており、海外ではそのまま使われています。今やちょっとした世界共通語となっているらしいです。
「うまみ」と聞くと日本人ならなんとなく美味しく感じてしまいますし、上記の理由で世界も視野に入れたCMなのかもしれませんね!

ザ・モルツ『カウンターの男たち3』篇 15秒 ~新しい時代のウマイ!~ EXILE TRIBE サントリー ビール CM (詳細)

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ザ・モルツ『カウンターの男たち3』篇 15秒 ~新しい時代のウマイ!~

3つ目は、「EXILE TRIBE」起用のわけについて。
まぁ大体の人が分かると思いますが、ビール離れが著しい20代から30代の若者たちへの消費喚起が目的です。


松本利夫さん(40歳)やHIROさん(46歳)らがビールになじみのある世間の40代やそれより上の世代を象徴しており、SHOKICHIさん(29)や登坂広臣さん(28)らがビール離れ世代を表しています。
一個上のCMでは先輩たちからビールを勧められて飲んでいますが、サントリーもそういった未来が来ることを望んでいるようですね。


ネットエイジアのデータによると、20代のおよそ6割の人が既にビールを「好きでない」「あまり好きでない」と答えています。他にも美味しいアルコールがたくさん出現して来たり、あまり無理をさせない文化ができてきたり、そもそも苦みが好きでなかったりと様々な理由が考えられますが、この「ザ・モルツ」はそういった状況を打開できるのでしょうか。今後の動向に期待ですね。





CMからは分からないので”+α”としたのですが、もう一つこのCMの背後から読み解けるものがあります。
それは「なぜ今スタンダードビール市場へ挑戦するのか」という疑問を考えることと同じことです。その疑問を応えるカギは現在与党が検討を進めている「酒税改正」という問題です。


「酒税改正」の内容は「ビール(当然スタンダードビールも)の税率を低くして、発泡酒や第3のビールの税率を高く設定する」というもの。
酒税改正の目的としては「量販店などでのお酒の安売りを規制して、価格競争の激化を止めるだめ」だそうですが、世界的に見ても高いと言われるビール税率は企業側からの要望も昔からありましたね。


もしこの酒税改正がなされると、当然スタンダードビール市場は盛り上がることとなり、サントリーとしてはその市場に先駆けてシェアを取っておきたい狙いがあると思われます。
当然他の大手も注力してくるでしょうから、そちらの動きも見逃してはだめですね!










以上3つ(+α)が、サントリー「ザ・モルツ」の新CMから透けて見えることです。
たった15秒のCMの中でも様々な思惑、伝えたいこと、挑戦状(これは稀ですが)が潜んでいることが分かっていただけたかと思います。
そういった目でCMを見ると楽しくなると思います!ぜひお試しください!


執筆者:

saburo

( さぶろー )
場所は東京、だけどイメージは西のかなた。 そんな某国立大学に通うインターン生。 何を思ったのか突然サークルを辞めてCM Funに加入。 瞬く間にCMジャンキーに。 プロの執筆陣に混じり、恐縮しつつも奮闘中です。 国内外、新旧問わず、「お!なにこれ」と思ったものをお届けします!

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