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「うちの味」は、茶色いバトン。

あゆみ

この商品が出た時、「いいとこついてるな」と思った。


ひとり暮らしの人、家族の料理を担当している人なら分かるけど、
「1人分の料理をつくる」というのはかなり面倒くさくてコスパも悪い。
少ししか使わない食材や調味料をホールで買うのも無駄だし
(ひとり暮らしだとその後どうもうまく使い切れない)、 
で、つい「一食分買って食べた方がよくない?」となってしまう。
だからこの商品は「複数人で一斉に食事をとる」のが難しい今の時代にとても合ってる。

エバラ食品 プチッと調味料 1人前の愛篇 30秒 CM (詳細)

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発売当初は観月ありさによる
「主婦ひとりのササッとご飯に」的な提案のCMだった。
いまは佐藤栞里による「ひとり暮らしの若者のごはんに」というバージョンと、
「1人分の料理の料理をつくる人のために」というバージョンを併用している。


このCM自体には「なるほどそういう使い方もあるのか」というのと
「主婦自身の食事シーンが一切入ってないのはちょっとかわいそうだな、
自分のごはんだって自分への愛情だよ…?」という以外の感想は特にないのだが、
このシリーズの「プチッと鍋 おでん」発売記念のムービーがなかなかよかったのだ。


では3篇、一気にどうぞ。

「東京の人、わたし」大地 28歳 篇 (詳細)

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「東京の人、わたし」大地 28歳 篇

「東京の人、わたし」穂高 32歳 篇 (詳細)

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「東京の人、わたし」穂高 32歳 篇

「東京の人、わたし」奈々 26歳 篇 (詳細)

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「東京の人、わたし」奈々 26歳 篇



故郷を離れ1人暮らしする若者。東京でちょっぴりお疲れ気味。
語っているうちに「やっぱり実家の味がいちばん好き」となる。
そんな彼らと、そして故郷の母に、心憎いサプライズ。


「東京の社会人であるわたし」がみるみるほどけて
一気に「故郷の人、母の子供であるわたし」になる瞬間は、
観ているこちらの心もほろほろとゆるんでくる。


これらのムービーを観た時に真っ先に思い出したのが、
最近友人が立ち上げた「レシピバトン」というサービスだ。
http://recipebaton.com/
(とてもいいサービスなのでサイト見てみて下さい)


大切な人が「うちの味」をつくる様子をムービーとレシピにおさめ、
それを誰かにバトンのように受け渡す。
「残して記憶しておく」ことと、「次につなげる」ということ。


実家暮らしの時は当たり前すぎてまったく気持ちをやることがなかったが、
大人になりそこから離れて、やっと気づく。
「うちの味」って自分の中で意外と大きな
「芯」や「よりどころ」になってるんだと。


だから最初、エバラがこの1人分の調味料の宣伝ムービーとして
「うちの味」に焦点をあてたのは意外だと思った。
利便性のいい1人分の調味料は
「うちの味がいちばん」というのとは、対極にいるような気がするから。


でも「かけがえのない味、てづくりの味。」というコピーから、
いちばん最後に「あなたのおでん、つくってみませんか?」で締めたのを観て
なるほどなと思った。


外で食べるのもいいけど、 
これなら簡単だから、まずは自分でつくってみようよ。 
あなたの中には「うちの味」の記憶がある。 
それを頼りに、あなたがやってみようよ。 
その味を継承するのもいい。オリジナルに行くのもいい。 
新しい「うちの味」はこれからあなたがまた、つくっていくのだから。


おそらく、そういう主旨なんだな。




私は、料理をするなら栄養バランスを考え、品数も彩りも豊富で…という
いわゆる「理想の母の料理」というものを勝手にゴールにしてしまい、
そのハードルの高さの前にいつも敗北してしまいがちだ。 
そして「いつだってそうあるべき」という一部の風潮にも、反発してしまう。


でも、料理はもっといい加減でいいんだよね、きっと。


料理研究家・土井土井善晴さんの著書「一汁一菜でよいという提案」には、
「基本はご飯と(具沢山の)味噌汁さえあればよい」
「家庭料理はおいしくなくてもいい」
「『手を掛けること=お料理すること』という誤解」とある。


臨床家の若林理砂さんの著書「はりめし」には、
どうしても面倒ならレトルトのごはんに、
漬け物など「ごはんのおともだち」があればいい。
そこにインスタントの味噌汁でもあれば上等、とある。


自分で自分の食べるものをつくること。 
無理をしないでささっとつくること。 
それが「くらし」の始まりなんだ、きっと。


家族が特別じゃなく毎日つくってくれた「うちの味」のうまさに気づいて、
次に自分でつくるものが何だかうまい、と思えるようになって、
そして一緒に暮らすひとにつくってあげて、
そのひとがそれを「うちの味」だと思う。


そうやってつながるバトンは、別にピカピカでも豪華でもなく、
なんか茶色くて(笑)意外とテキトーで、ざっくりしたかたちをしてる。


それでいい。 
それがいい。


私も老境の父が書いてくれた実家おでんのレシピに、
そろそろ挑戦しようと思う。

執筆者:

あゆみ

博報堂コピーライターからなぜかダンサーに転身。その後 (株)ネットプライス創業時からライター&クリエイティブディ レクターとしてEコマ―スに携わる。日本初の共同購入「ギャ ザリング」やブランド買い取り「ブランディア」の名づけ親。 「広野ゆうな」のペンネームでメルマガやブログを15年以上 書き続け、一部にコアなファンを持つ。現在はフリーでライ ティング、ネーミング、コピー、コラム、振付など手がける。

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