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赤城乳業は、なぜふざけるのか。

近藤あゆみ

前回のコラムで赤城乳業の「Hiver」CMについて書いた。

友がみなわれよりえらく見ゆる日よ 
花を買ひ来て妻としたしむ
| CM Fun

一見ふざけているように見えて、ひとの心のぼんやりした焦りをとらえ、
そして肯定している、なかなかに素敵なCMだった。

そこで気になったのが
「赤城乳業はなぜこういうトーンのCMをつくるの?」ということだった。

私が知っている赤城乳業は言わずと知れた「ガリガリ君」の会社。
そのガリガリ君値上げのお詫びCMがとても面白かったのは記憶に新しい。
(現在は公式がアップしていないので載せられないけど、検索してみて下さい)

他にはどんなCMをつくっているのだろう。
そう思って調べてみたら、相当にパンチの強いものが並んだ。

赤城乳業 チョコアイスバーブラック BLACK「売上篇 BLACK×クッキーバニラ」CM(15秒)

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    • クッキーバニラ
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    • 2,994
HA
面白い!
好き!
感動!
こちらはリアルタイムでTVを観ていてすごく衝撃的だったCM。
しりあがり寿さんの恐ろしいほど腑抜けた(※褒めてる)イラストが
ふざけたダンスを踊っている姿に目が離せない。 
「気持ち悪い」ギリギリ手前にいるのは、ダンスが軽快だから。

赤城乳業 チョコアイスバーブラック BLACK「さようなら篇 BLACK×チョコミント」CM(15秒)

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    • BLACK×チョコミント
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    • 2,647
HA
面白い!
好き!
感動!
「脱力し過ぎててすいません」なメッセージとは裏腹に、
首から下のダンスが実にスムーズで軽やかなアニメーションになってる。
ランニングマンも美しいぞ。これはきちんとした踊り手さんの
モーションキャプチャなのでは…?

そしてもうひとつはこれ。

赤城乳業 ミルクレア MILCREA「パーティー篇(マルチ)」(30秒) CM (詳細)

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HA
面白い!
好き!
感動!
お洒落っぽい外国人の男女が出てきて英語で会話…と思ったら、
ほんとうにしょうもなかった(※褒めてる)。

この「わしもないねん」おじさんは、WEB限定で
「ないねん50連発」というムービーを公開している。

MILCREA「貯金ないねんおじさん」【WEB限定】 (詳細)

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HA
面白い!
好き!
感動!
このようにさまざまなものが「ないねん」とつぶやくおじさんが
50種楽しめる、狂気のつくりになっている。 
つぶやいてるのは全部このイケおじなので、何もかも手にしていそうで
その実ほんと何もないねんなこのひと…って可哀相になってくる。
(と同時に「あたしもないねん…」って共感する)


それにしても、前回のHiver、今回のBLACK、MILCREA。
名前も見た目も大人っぽいアイスなのに、そこの潔い投げ捨て方たるや。
(※褒めてる)
こういうズラし方、シュールで「真面目にPRしない」姿勢は、
としまえんやキンチョールなど、往年の人気広告を彷彿とさせる。

このあたりの制作についての解説は、難波功士さんの
「赤城乳業テレビCMの快進撃をめぐって」という記事を読んで頂くとして。

「赤城乳業テレビCMの快進撃をめぐって」|Yahoo!ニュース個人 難波功士

私は「赤城乳業はいつも何を伝えたいのか」を考えてみた。


昔と比べて、今のCMはとても実用的だ。 
「夢」や「ユーモア」を見せるよりも、
「利点」や「お得」をきっちり見せるものの方が多い。
それは、企業も消費者もそういう時代なのだろうと思う。

ただ時折、息苦しさ、窮屈さは感じてしまう。
逃げ場のなさ。肩の力の抜けなさ。

そんな中で、前回と今回紹介した赤城乳業のCMは
「自分たちを笑う」「格好つけから引きずり下ろす」
「何の利点も理想もべき論も示さない」姿勢がある。

ふざけているように見えて(本当にふざけているだけかもしれないが)、
そこに窮屈な世間への抵抗を感じるのは私だけだろうか。

「ない」をキーワードに、
「ない」ことをいつだって強みにしているような。

世の中もっともらしいけど、 
あっちもこっちも強そうだけどさ、 
実はそこには何もないんじゃないの。

でも、人ってそんなもんじゃね? 
格好悪くてよくない? 
しょうもなくてよくない? 
俺らも、あんたも。

だから泣くより怒るよりビビるより、笑わない? 
ボッキリ折れちゃう前に、ふにゃふにゃしない?

そんなメッセージを、そういうことばを使わずに
おくっているのだとしたら、赤城乳業恐るべしである。
あなたのこと、かなり、好きだ。
執筆者:近藤あゆみ
博報堂コピーライターからなぜかダンサーに転身。その後
(株)ネットプライス創業時からライター&クリエイティブディ
レクターとしてEコマ―スに携わる。日本初の共同購入「ギャ
ザリング」やブランド買い取り「ブランディア」の名づけ親。
「広野ゆうな」のペンネームでメルマガやブログを15年以上
書き続け、一部にコアなファンを持つ。現在はフリーでライ
ティング、ネーミング、コピー、コラム、振付など手がける。

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