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ろくでもなくない!

岡田直也

正直言います。
ぼくは、この「宇宙人ジョーンズ」シリーズ、いいとは思ってなかったんです。
「このろくでもない、すばらしい世界」にしても、CMぜんたいの世界観にしても、
これではたして、缶コーヒーの広告になっているのか、と思って。
なのに、世間では評判がいい。いろんな賞を取ったりもしている。
それって、なぜ? オレの見る目がない?
でも最近、やっとわかってきた。ロングランには、ちゃんと訳があるのですね。

プレミアムボス『プレミアム熊本』篇 30秒 トミー・リー・ジョーンズ タモリ 北村一輝 くまモン サントリー CM

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HA
面白い!
好き!
感動!
その時どきのいろんなネタを取りあげて、タウンウォッチングしながら
(タモリさんの起用は、そこで生きるのかな)、
時世におもねらず、批判もせず、素直にすこしだけ前を向く。
ま、いろいろあるけど、現状肯定しておこう、みたいな。

この「これでいいのだ」感、現代人にとっては、
いかにもホッとするもん、なんでしょうね。
そしてそのスイッチがはいる付近に、商品が重なる。
そういうことなんだよね。
ぼくが原理主義的に解釈しすぎていたな。やっと、理解できました。

ボス『昭和』篇 60秒 トミー・リー・ジョーンズ サントリー CM

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HA
面白い!
好き!
感動!
ロングランCMの条件のひとつとして、ぼくは、
受け手が共有している、既存の「物語」にすこし「狂い」を入れて、
上書きしてしまうというのがあると、思っています。
お父さんが犬だったり、桃太郎とかぐや姫が夫婦だったり・・・。
永くつづくものは、どこか「狂って」いたりするわけです。

「サントリー ボス」の場合だって、
宇宙人が地球にとけこんでいるところが、すでに「狂って」ます。
さらに彼は、ときどき念力というか、そんなものまで使うからね。
そうなんです。CMづくりのキモのひとつが、ここにはあるのです。


競合の商品が、タレント頼みのCMをあいかわらず打ってる。
「こんな人がこんな時に飲みましょうよ」みたいな、
啓蒙に戻ってしまったものさえ、ある。
そんな中、ボスのCMは、頭ひとつ抜けちゃったんだな・・・。

ボス『おまわりさん』篇 30秒 トミー・リー・ジョーンズ 永瀬正敏 窪田正孝 サントリー CM

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HA
面白い!
好き!
感動!
いやいや、やっとわかりました。
今までゴメン、福里さん!
執筆者:岡田直也
CMは、世の中の動きとまさに連動しています。イケイケの時は
勢いがいいし、沈滞してるときはどこか内省的になったりする。
そういう意味でCM観察とは、立派な社会学・考現学といえます。
それとは対極の「神はディテールに宿り給う」。これもまた事実。
些細な演出の妙など、作り手の意志が際立つ場合も、あるのです。
そう、CMの観かたは、大所高所から重箱の隅にいたるまで無限。
ぼくらがそれを、いろんな角度から提示できれば、と思ってます。

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