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昭和、再考!

岡田直也

今日は、「昭和観」の話をしてみようと思います。
結論からいうと、安易で無批判な礼賛は、
すこし控えたほうがいいかな、ということなのですが。

それは、ACのCM~植木等さんと、当時のスナップで構成~を
観ていて感じたこと。
(ここでは紹介できませんが、知ってますよね?)
その根底にある考えかたはたぶん、50年前と今とを対比させて、
「あの頃」をベルエポックとして称揚すること、とうかがえます。

でもねえ、それって、単なる懐古趣味、じゃないのかなあ。
なぜって、「あの頃」は、かなり生きにくい時代だったのでは、
と思うからです。

今より数段、自殺率が高かった。
交通事故による死者も、数倍多かった。
おまけに、高度成長による国土の荒廃がすすみ、
豊洲に代表されるような、未来への「負の遺産」を、
ぞくぞくと生み出していた時代なんです。
(すべての公害、原発の計画・・・みんなこの時代のものです)

もし、対比を試みるのなら、今のほうがいいに決まってます。
笑顔の総量でも、今のほうがずっと多いと思うんですよ。

そうなんです。ノスタルジーに基づいた昭和礼賛には、
かなりの注意が必要、とぼくは思うのですよ。
すべてが「三丁目の夕陽」ワールドではなかったのだから。


それにひきかえ、先日もご紹介した、「サントリー BOSS」。
ここでの「昭和観」は、ACとは一線を画しています。

ボス『昭和』篇 60秒 トミー・リー・ジョーンズ サントリー CM

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HA
面白い!
好き!
感動!
過去を、現在との対比では捉えない。地続きなものとする。
さらに、「つぎの永さん、蜷川さん、巨泉さんよ、出て来い」的な、
未来に向かってのエールを送っているようにも見える。
うん、こちらのほうが、なんだかホッとします。
勇気も、わいてきます。

「夢よもう一度」「あの頃がライバル」ってのは、
ちょっとヘンなところに力がはいって、
いろいろ破綻が生じてくるのではないかなあ。
東京オリンピックはもとより、
現在画策中の「大阪万博」も、
おかしなことにならなければいい、と思うのですが。


では、オマケ。さいごにこんなCMを。

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    • 吉野家
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HA
面白い!
好き!
感動!
(築地一号店物語 牛丼 妄想篇WEB ver.)

【吉野家TVCM】とん汁 あったかい篇 30秒

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    • とん汁
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HA
面白い!
好き!
感動!
まさに「あの頃」を描いています。
なかなかよく出来ている、と思いますね。
昭和が、今に続く感じは、そこここに見受けられる。
スタンスとしては、BOSSに近いような気もします。


・・・そうなんです、「昭和」の描きかたって、意外とムズカシイ。
「哲学・美学」が必要とされるんですよ、おおげさに言えば・・・。
執筆者:岡田直也
CMは、世の中の動きとまさに連動しています。イケイケの時は
勢いがいいし、沈滞してるときはどこか内省的になったりする。
そういう意味でCM観察とは、立派な社会学・考現学といえます。
それとは対極の「神はディテールに宿り給う」。これもまた事実。
些細な演出の妙など、作り手の意志が際立つ場合も、あるのです。
そう、CMの観かたは、大所高所から重箱の隅にいたるまで無限。
ぼくらがそれを、いろんな角度から提示できれば、と思ってます。

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