ウェブマガジン CM Funコラム

Amazonのあのコたちは「めでたしめでたし」なのか。

近藤あゆみ

かわいい。 
とてもかわいい。

だけど観終わったあと、何だかちょっぴり引っかかる。
まるで、魚の小骨のように。

ここのところ放映されているAmazonの動物CMについて、
私はいつもそんな気持ちでいた。

だけど何が引っかかっているのか、うまく言葉にできないでいたのだ。

Amazon Prime Commercial "Lion" (Japan) (詳細)

  • 広告主
    • Amazon
  • サービス
    • Amazon Prime
  • ビュアー
    • 2,431,345
0|0|0
HA
面白い!
好き!
感動!
いいじゃん。 
大好きな家族、仲良くなりたい赤ちゃんと
無事にコミュニケーションを取るきっかけができたゴールデンレトリバー。
お父さんが彼の淋しさを見事に汲んで無言で連携しているのが素晴らしい。

amazonプライム CM(ポニー編) (詳細)

HA
面白い!
好き!
感動!
いいじゃん。 
他の馬たちみたいにかっこよく障害を越したいポニーも、
見事ひらりとジャンプできたじゃないか。
こちらも飼育員(?)のお姉さんがしょんぼりポニーを助けてくれた。

アマゾンがあって、よかったね。

ありきたりな「買い物」ではなく、自分が変わるため、
何かのきっかけになるための意外なアイテムも、
アマゾンならすぐ手に入れることができる。
そういう美しい流れだ。


でもようやく分かったわ。
私の中で何が引っかかっていたのか。

それは、別の媒体でアラサー女性向けのコラムを書いている時だった。
こんなコラム を隔週連載しておりますよろしく)

さまざまな雑誌やサイトで「女子はこうなったらモテる」
「こうなったら嫌われるから注意!」という記事ばかりが上がっているので、
「そんな世間様の意見に従って自分の個性に合わない何かになろうとするな!」
というエールを女性たちにおくりたいと思って書いていたのだが、
その時に「あっ…」と気づいたのだ。

アマゾンの犬と馬のCM。
これ、2つとも「自分じゃない何者かになろうとした(ならせた)」。
私がそのことにモヤモヤとした違和感を持ったんだ。

「犬はイヤ!ライオンさんならいい!」 
ならばライオンになりましょう。 
「あの馬たちみたいに格好よくなれたら…」 
ならば彼らのように跳んでみましょう。

ほらうまくいった、めでたしめでたし。

…そうか? 
それでいいのか犬よ、ポニーよ。人間よ。
自分の個性と強みを脇に置いとくなよ!

しょんぼりした自分を、誰かを、変えるきっかけに
お買い物があるのはいいんだ。
ならば、「別の何者かに近づくためのアイテム」じゃなくて、
「自分の個性と強みを活かせるアイテム」を入手するのはどうだろう。


犬バージョンのCMなら、あれはライオンである必要などない。
ふわふわのぬいぐるみが赤ちゃんのお気に入りなのだから、
100個のゴールデンレトリバーぬいぐるみを従えて、
モフモフふわふわリーダーとして華々しく登場するのはどうだ。

または利口なゴールデンのことだから、ラッパやボールを買って
赤ちゃんも思わず見とれる一芸を披露してはどうだ。

ポニーバージョンのCMなら、デカい馬のできることをしなくていい。
低く設定できるポールを買って、全力疾走からズサーッと華麗な滑り込みで
ポールの下をくぐり抜けるのだ。
そればっかりは小柄なポニーにしかできないだろう。

もしくは跳び箱の前に置くような跳躍用の踏み台を買い、
身軽さを利用してそこでジャンプ、サラブレットたちの背中に
えいやと飛び乗ってしまえばいい。ポニーが馬に曲乗りするんだ。
そして走る馬上で自らのたてがみをたなびかせていななけばいい。


自分が今よりさらに独自に、魅力的に見えるものを。
それが「いいお買い物」だと私は思う。


誰かみたいになりましょう。
あそこのクラスタに入りましょう。
今のままではマズいですよ。 
広告は特にそういう空気をあおる面が強いだけに難しいけど、
これからはそこ以外でモノをアピールすることが増えたらいいのにな。

たかがCMなんだけど、
たかが恋愛ハウツー記事なんだけど、
そういうことをちょっとずつちょっとずつ、
みんなで大事にしていけたらいいね、と思ったりしました。
執筆者:近藤あゆみ
博報堂コピーライターからなぜかダンサーに転身。その後
(株)ネットプライス創業時からライター&クリエイティブディ
レクターとしてEコマ―スに携わる。日本初の共同購入「ギャ
ザリング」やブランド買い取り「ブランディア」の名づけ親。
「広野ゆうな」のペンネームでメルマガやブログを15年以上
書き続け、一部にコアなファンを持つ。現在はフリーでライ
ティング、ネーミング、コピー、コラム、振付など手がける。

他のコラムを見る

前後のコラム

関連記事

人気の記事

新着記事

コラム一覧を見る