ウェブマガジン CM Funコラム

あばれるさん。

近藤あゆみ

みなさんこんにちは。毎日暑いですね…!  

わたくし夏の暑さは苦にはなりませんが、

この半年くらい「CM公開→炎上→即削除」の流れが

絶え間なさすぎてちょっとうんざりな今日この頃です。


しかもそのほぼすべてが「女性の扱い」についてが原因。

かつて制作に(ちょっぴり)たずさわった人間として、

広告が世に出るまでにはさまざまなしがらみや苦労があって

思いを思い通りには表現できないのもよく分かります。

でも「それにしたってさすがに作り手のジェンダー観や

認識が時代錯誤すぎやしないかい…?」と思うのですよ。

なかには「あえての炎上を想定していた」なんて

作り手の意見まであらわれて、

「盛り上がれば誰かをおとしめてもいい」って

とんだビジネス感覚だな…。」とびっくりしました。


というわけでCM内の女性の描写にはあまり期待してないのですが、

ネットで目にして久々に「これはっ」と心惹かれたものがありました…!

アンダーアーマー「I WILL. MASAMI NAGASAWA」 (詳細)

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HA
面白い!
好き!
感動!

キッチュ&ポップな銭湯で踊り狂う長澤まさみさん。

下地はコンテンポラリーダンスだと思うけど、

踊りというよりは「暴れ」に近い狂気もあり目が離せない。

普段の彼女のイメージからかけ離れてる感じもカッコいい。


CMとしての完成度もいいんだけど、

私はこの「踊り狂う女」自体にすごいメッセージを感じました。


これ何度も書いてるのですが、日本の女たちはもう心底イヤなんですよ。

古くさい価値観をいまだに押しつけられるのが。

表面上は「輝く」なんて美しいことばで取り込もうとしていても、

実際は「昔みたいに物わかりよくにこやかに都合良くいてね、

でもバリバリ仕事と家事がんばってね♡」って

無理ゲーを押しつけられてる。だからヘトヘト。


だからさ、もう好きにやらせてよ。 

可愛いとか、色っぽいとか、男ウケとか、 

そういうのかなぐり捨てて好きに暴れるぞ。


どこからひいき目に見ても美しい動きとはいえない、

予測不可能な生き物みたいな野性味あふれる振り付けや

長澤さんの荒々しい表情が、そう言ってるようにしか見えない。  

で、思わずラストで「長澤っ!」って

歌舞伎の大向こうみたいに叫びたくなりました。


私が週4で通い、腹に縦線が入るまでハマッてる

暗闇ボクシングのジムは女性でいっぱいです。

そこで体感してるのは、今や女性の願望は

「可愛くなりたい」よりも「強くなりたい」に

移行しつつあるんじゃないか、ということ。

まだ主流ではないだろうけど確実にそこにモチベーション、ある。


身体を動かしている人なら実感できると思うのですが、

自分に自信を持ち堂々と好きに動くにためには、

コスメでも洋服でもなく、まず筋肉と基礎体力が必要だったりします。


そういう意味では「I WILL. 」のコピーをつけて

スポーツウェアのブランドであるアンダーアーマーが

こういうCMを作ったのはすごく納得。


ちなみにこのクセのあるダンスの振付師は

ライアン・ハフィントンという方で、

彼の手がけた別のCMを探したら出てきたのがこちら。

KENZO World - The new fragrance (詳細)

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HA
面白い!
好き!
感動!

これもスゴい。香水のCMとは思えない。

破天荒さと破壊力の強さにかけてはこっちが上か。

キレイに着飾った女が耐え切れずレセブション(?)会場を飛び出し、

いきなり爆発して暴れる。

何だかこれもアンダーアーマーと同じメッセージを感じます。



異性から、他人から、変に見られたってかまわない。

世間から許されなくたって自分でそれを許そう。

いま私の中にあるモヤモヤをお行儀よく閉じ込めていたら私は死んでしまう。 

走れ、投げろ、壊せ、飛び込め。私の意思をまず示す。人生はそこからだ。


こういう広告が、これからもっと増えたらいいのにな…と思います。

執筆者:近藤あゆみ
博報堂コピーライターからなぜかダンサーに転身。その後
(株)ネットプライス創業時からライター&クリエイティブディ
レクターとしてEコマ―スに携わる。日本初の共同購入「ギャ
ザリング」やブランド買い取り「ブランディア」の名づけ親。
「広野ゆうな」のペンネームでメルマガやブログを15年以上
書き続け、一部にコアなファンを持つ。現在はフリーでライ
ティング、ネーミング、コピー、コラム、振付など手がける。

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