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【特集】
コピーは世につれ・・・
企業をあらわすメッセージ 2

岡田直也

 では、「企業メッセージ」の2回めを、はじめよう。

 

百貨店のことは前回しっかり書きましたが、

他業界で、ちょっと特筆すべき「カタマリ」がふたつ見えたので、

ご報告しましょう。

ひとつは「外国車」、もうひとつは「建設業界」です。

 

 

まず、外国車から。

バブル期からポストバブルのものですが、視座は一貫していました。

 


1.私たちの製品は、公害と、騒音と、 

廃棄物を生みだしています。 

(ボルボ・カーズ・ジャパン 1991) 


・・・かなり話題になった広告です。

バブルのさなかにありながら、のちに到来する

「エコブーム」を先取りしていますね。

 

2.メルセデスの嘘。(メルセデスベンツ日本 1992

 

3.メルセデスの非常識。(  〃 1993

 

4.人は誰でもミスをする。それが、メルセデスの前提です。

(  〃 1995

 

5.完全な自動車は、まだありません。(  〃 1997

 

6.もういちど、自動車を発明します。(  〃 1998

 

やはり4.が、印象的でした。CMもグラフィックも、

ちいさな女の子が食べ物をこぼしてしまうビジュアル。

前回書いたように、ポスト‘80年代の「モノ寄り」傾向のなか、

すばらしいコピーだなあ、と思うのです。

 

 

つづいて、「建築業界」。

ここははっきり言って、バブルの落とし子、ってとこでしょうか。

1992年には、あの有名なコピー、

 

7.地図に残る仕事。(大成建設)

 

が、年鑑に登場します。

いまでも息づいている、ロングランの名作といえます。

 

その前年、‘91年には、こんなCM音楽が話題になりました。

 

 8.♪~昼間のパパは光ってる

昼間のパパはちょっとちがう。 

昼間のパパは男だぜ。(清水建設)

 

そう、忌野清志郎さんですよ。よかったですよー。

 

清水建設はさらに1992年、


9. 昼間のパパの手。 

~むかし ちいさかったパパの手は いまは すっかり大きくなって 

いろんなことを しています  

 

と、CMで展開させています。

この業界から秀作が出たのは、この一瞬、だったようです。

バブルのチカラは偉大だね。 

 

 

 

さてそれでは、今回のメインイベントを。

1980年から10年前までの、名「企業メッセージ」、

適宜解説を入れながら、時系列にご紹介していきましょう。

単なる「企業スローガン」を超えたものや、

商品コピーが昇格したものなど、いろいろ出てきますよ。

 

1980年)


10.なぜ、時計も着替えないの。SEIKO) 

・・・元祖・企業メッセージという気がします。

時計をファッションアイテムにしたい。

それはよく伝わってきますね。

 

1981年)

11.「美しい」より、「セクシー」と言われたい。Wacoal) 

・・・このころ、「女の時代」がよく叫ばれていました。

そんな背景があったことは、たしかです。

 

1982年)

12.触ってごらん、ウールだよ。(国際羊毛事務局) 

・・・いわゆるウールマーク、ですね。

受け手の側に立った、ほんとにウマイ一行。

 

1983年)

13.美しさの基本はすこやかさだと思います (資生堂) 

・・・のちのちのために、資生堂を挙げておきましょう。

「美しい」は、資生堂のだいじなキーワードです。

 

1984年)

14.活字が、あたたかい。(福武書店) 

・・・ベネッセになるまえの、貴重な一行。

同社は当時、文芸路線をとっていました。

 

1987年)

15.コクがあるのに、キレがある。ASAHIBEER) 

・・・これが、「商品」から「企業」に昇格した、ひとつめ。

のちのスーパードライでも、使用していました。

 

1988年)

16.にんげん、岩田のつもりです。(岩田屋) 

・・・福岡の百貨店。独自の広告展開をしていました。

 

1989年)

17.「人間は、全員疲れているのだ」と仮定する。TOTO) 

・・・スタンスが大きい。メイン商品のウォシュレットなんて、

軽く超えています。

 

1991年)

18.もうすぐ未来がやってくる。NTTデータ通信) 

・・・バブル期、そして花形産業。自信に満ちてますね。

 

1993年)

19.ちゃんと、ちゃんと。AJINOMOTO) 

・・・「ひと手間かけよう」~まさに、味の素らしい。

これも、長く使われるフレーズでした。

 

1995年) 

20.ナカハ ムラタ デスカ (村田製作所) 

・・・考えてみると、「インテル入ってる」と発想がいっしょ。

どちらが先なのかは、わかりません。

ちなみにIntel insideは、日本語からの英訳らしい・・・。

 

1997年) 

21.美しい50歳がふえると、日本は変わると思う。(資生堂) 

・・・これも「昇格」の例。

もともと「アクテアハート」の商品キャッチでしたが、

アンチエイジングを唱える企業メッセージの役割を、

じゅうぶん果たしたといえます。

 

1999年) 

22.さびない、ひと。(資生堂) 

・・・さらに、これもそう。「エリクシール」の商品コピーでした。

ただ最近アメリカでは、アンチエイジングというコトバは

もう使わない、という動きがあるようです。

 

2004年) 

23.水と生きる。SUNTORY) 

・・・サントリーのすべての企業活動を、こんな短く、

こんなやさしいコトバで、みごとに言いあてています。

考えてみれば、「水と生きる」のは、企業だけじゃない。

人間をはじめ、地球全体が、水と生きている。

みんなを巻きこむ、秀逸の企業メッセージだと思います。

 

2007年) 

24.一瞬も 一生も 美しく。(資生堂) 

・・・大トリは、これです。

すべての人の願いであるとともに、「アンチエイジング」の

影もない。これから先もずっと使えそうな、スーパーコピー。

 

 

 

さあ、いかがでしたか。見ごたえ、ありましたよね。

ちなみに、ここで紹介したなかから、ぼくのベスト3を選ぶなら、

 

3位 地図に残る仕事。 

2位 一瞬も 一生も 美しく。 

1位 水と生きる。 

 

といった感じかなあ。かなりの独断と偏見、だけどもね。

 

 

 

・・・では、この論のさいごに、「英語しばり」の企業メッセージを、

やはり時系列で、いくつかご紹介して、ペンを置くことにしましょう。

(正確には「指を」ですが)

 

1983年) 

25.INTERFACE ~日立は今、インターフェイス。(HITACHI) 

・・・ずいぶん出稿量が多かったので、よく憶えています。

けっこう、先がけ的な企業メッセージでした。

 

1988年) 

26.It’s a SONY SONY) 

・・・年鑑には、この年が初出でした。

 

1998年) 

27.I’m HONDA. (本田技研工業) 

 

1999年) 

28.no music, no life! (タワーレコード)

 

2000年) 

29.Do you have a HONDA? (本田技研工業)


<コピーは世につれ・・・企業をあらわすメッセージ記事一覧> 

執筆者:岡田直也
CMは、世の中の動きとまさに連動しています。イケイケの時は
勢いがいいし、沈滞してるときはどこか内省的になったりする。
そういう意味でCM観察とは、立派な社会学・考現学といえます。
それとは対極の「神はディテールに宿り給う」。これもまた事実。
些細な演出の妙など、作り手の意志が際立つ場合も、あるのです。
そう、CMの観かたは、大所高所から重箱の隅にいたるまで無限。
ぼくらがそれを、いろんな角度から提示できれば、と思ってます。

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