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【特集】
女性コピーライターたちよ! 2

岡田直也

<前編はこちらから。>


では、「女性コピーライター作品」の’01年以降を、

じっくり見ていくことにしましょう。

 

前回、「コピー年鑑」に掲載された人数ベースで、

女性の割合は19%、と書きましたが、

これを「多くなった」と評価するとすれば、

女性ライターが活躍できる環境が、今世紀に入って整ってきた、

また、書き手の性別より、個性の違いが見えてきた、

ということはできる、と思います。

でも、「少ないままなんだ」と思えば、

まだまだクライアントの発想法とはズレがあるのかな、

クライアントは、相変わらず大局観と右上がり志向なんだなあ、

と考えさせられたりもします。

 

でも、今世紀にはいっての彼女らの活躍は、

ほんとうに目をみはるものがあります。

 

さっそく、時系列で紹介してゆきましょう。

 

(2001年) 

1.母が年をとったことを、味の薄さで知りました。 

    天王醸造 昔づくり(醤油) 

・・・この、生活のワンシーンな感じ。いいですね。

 

(2002年) 

2.体力がある女 

やせてない女 

丈夫な女 

食欲がある女 

    ナイキジャパン 

・・・故・野田凪さんのアートディレクションでも話題に。

 期待される女性像の反対を行ったのかなあ。 

 とにかく、つよい広告でした。

 

(2003年) 

3.おなじは嫌いだけど、いっしょは好き。 

・・・単純なことなんだけど、まさにその通り。

 

4.田舎から恒例のみかん。 

でも、おすそわけする人がいないのです。 

    NPO たすけあいグループ うみお 

・・・目線低く、具体的。よくわかります。

 

(2004年) 

5.死ぬのが恐いから飼わないなんて、言わないで欲しい。 

    日本ペットフード 

・・・個人的な話ですが、いま「エンジン01文化戦略会議」で、

動物愛護委員会の仕事を手伝っていますが、

なかなかこの一行を越えられないでいます。

 

(2006年) 

6.一瞬も 一生も 美しく 

    資生堂 

・・・有名なフレーズですね。

すべての女性の願いを、一行に集約しました。

 

7.あなたと会ってる数時間。会いたいキモチと、休戦できる。 

   リプトン リモーネホット 

・・・広告主のオヤジたち(かどうかはわからんけど)、

よく採用したな、と思います。

 

8.わたしは、一人でも大丈夫。そういうあなたは、二人でも大丈夫。 

    プラチナギルド 

・・・10年以上前なんだけど、イマっぽいなあ。

 

(2007年) 

9.今死んだら、「あの太ってたひと」になってしまう。 

    エステティックサロン ATLAS 

・・・この想像力。人の背中を押せるコピーだと思います。

 

(2009年) 

10.悪い女ほど、清楚な服がよく似合う。 

   LUMINE 

・・・女って、コワイですね・・・。

 

(2010年) 

11.男の子みたいだった女の子ほど、案外キレイになっていく 

12.今日は別人みたいなんて、失礼しちゃうわ 嬉しいわ 

    LUMINE 

・・・ターゲットに、確実に届きます。すごいと思う。

 

13.ははは ふふふ ほほほ みんなほほえむ 母 母 母 

    伊勢丹 

・・・おもしろいコピーワークですね。でも、伝わる。

 

(2011年) 

14.あした、なに着て 生きていく?  

    Earth music&ecology  

・・・これも、人口に膾炙したフレーズになりました。

「着る」=「生きる」。うん。

 

15.春が好き。そろそろ春は、もっと好き。  

    三越ラシック(靴) 

・・・とてもキレイな一行です。

 

(2013年) 

16.壁にシミあり、障子に絵あり。 

    ビケンのリフォーム 

・・・なんて面白い発見なんだろ、と思います。

 

17.去年の服が似合わなかった。わたしが前進しちゃうからだ。 

18.魅力的な欠点がひとつあれば、どうしようもなく愛される。 

    LUMINE 

 ・・・単語選びや言い回しなど、コトバについての感性が鋭すぎる。

ひたすら、すごいなあと思います。

 

19.13歳で結婚。14歳で出産。恋は、まだ知らない。 

    公益財団法人 プラン・ジャパン 

・・・いまだに掲載がつづいている広告ですね。

 

 

・・・ここまで一気に紹介してきましたが、

たとえば、4と7の作者は同一です。

5と14も、いっしょ。

そして、これはもう一目瞭然なんだけど、

11・12・17・18も、同じひとの手になるものです。

感性にまっすぐなところとか、目線の低さとか、

そういうところは共通しているんだけど、

書き手の個性の差が、いたるところに出ている、と思います。

 

 

さてそれでは、直近の名作を、まとめてご紹介。

ここに至って、女性コピーライター作品は、

大きな結実をみた。そんな気がしてなりません。

 

(2015年) 

20.ち、 

        のち、 

    いのち。   

   日本赤十字社 

・・・すばらしい発見だと思います。

Room708でも書いたけれど、

この年の一番でもよかった、と思っています。

 

21.運命を狂わすほどの恋を、女は忘れられる。 

22.会えない日も、ちゃんと可愛くて、ごめんなさい。  

    LUMINE 

・・・尾形真理子さんでした。

 

(2016年) 

23.服以外も、がんばろう。(笑)  

    Earth music&ecology 

・・・児島令子さんでした。

 

24.「死ぬときぐらい、好きにさせてよ」   

    宝島社 

・・・樹木希林さん扮する、オフィーリア。

ラファエル前派・ミレーの名作のパロディです。

この高齢化社会、いろいろ考えさせられます。

宝島の批評精神は、太田裕美子さんに受け継がれました。 

 

いわゆる「女性感性」みたいな、

ありきたりのところに集約するつもりはないし、

ジェンダー論をふりかざすつもりも、さらさらないんだけど、

ぼくは単純に、憧れます。リスペクトします。

だって、自分には書けないものばかりだから。

 

こういった、女性コピーライターが活躍することによって、

世の中は、きっと変わっていくんじゃないか。

既存の価値観をゆらしてくれるんじゃないか。

 

ぼくはそう、願っているのですけど・・・。

執筆者:岡田直也
CMは、世の中の動きとまさに連動しています。イケイケの時は
勢いがいいし、沈滞してるときはどこか内省的になったりする。
そういう意味でCM観察とは、立派な社会学・考現学といえます。
それとは対極の「神はディテールに宿り給う」。これもまた事実。
些細な演出の妙など、作り手の意志が際立つ場合も、あるのです。
そう、CMの観かたは、大所高所から重箱の隅にいたるまで無限。
ぼくらがそれを、いろんな角度から提示できれば、と思ってます。

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