Room708
名づけて「直也の部屋」。 編集長が、プロフェッショナルな立場から、広告を語り尽くします。

いまのCMって・・・。

2016/10/13

ここでまた、セキスイハウスの話にもどってみることにしよう。


あのCMの表現世界が、ある意味異彩を放ってる、ということは、逆にいうと、

地に足をつけての「ブランディング」ができている広告主がいかに少ないか、の証。

ぼくは、そういうふうにも見ています。


ブランディングというのは、なにもむずかしい理論が必要なわけではなく、

「決める」「そろえる」「つづける」こと、そして「物語」をつくることだ、と、

ぼくはつねづね思っているのですが、

それがなされていないところが、あまりに多すぎるんですね。


昨今のCMはとにかく、商品説明に汲々としている。

これがまた、まっとうなブランディングを阻害しているんですね。

試しに、スポットでもタイムでもいいんだけど、

いま流れているCM部分の映像を消して、音声だけ聴いてみてください。

ほぼ、自画自賛的な機能説明ばっかりなことに、おどろかされます。

ラジオCMと見まがうような、ナレーションの量・・・それが現状なんです。

それが面白ければいいんだけど、ほとんどが手前勝手なものばかりですねえ。


そのなかで、セキスイハウスのCMは、むしろ異質なものになるはずなんですね。

だから目立つ。じつに皮肉なこと、といえます。

そういう意味では、ちょっとまえのトヨタ「アクア」なんかもそうだった。

ナレーションを捨て去ったことが、評価を上げたわけですから。


そうなんです。CMの表現手法は、全体として明らかに退化した、と言わざるを得ないですね。

まえにもちょっと触れたように、

ほんらい、紙媒体が果たす役割が、CMに回ってきてしまった、

ということもあるかも知れないけれど。


事態は深刻。ぼくにはそう思えてなりません。


なんか、20年くらい前の、一本一本がとにかく凝っててオモシロかった時代のCMを、

いまの若い人たちに見てもらいたいなあ・・・。

じゃないと、なんというか、CMに対して、夢が持てないものねえ・・・。

岡田直也
1955年東京生まれ、札幌育ち。
現在の本拠は大阪・南堀江。
東京・大阪・札幌各コピーライター
ズクラブ会員、エンジン01文化戦略
会議会員、甲南女子大学講師。
各地に私塾を開催、若手の育成にも
力を注ぐ。また年に一度のライブに
命を燃やすミュージシャンでもある。