Room708
名づけて「直也の部屋」。 編集長が、プロフェッショナルな立場から、広告を語り尽くします。

つぎは、「きず」モンダイ!

2016年10月22日
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大阪で地下鉄に乗るたび、気になってしかたがないことがあります。

それは、ドア横にある、大市交(大阪市交通局)のステッカー。


乗車マナー啓発、を訴えていたのかな、そこんとこは不確かなんだけど、

1行めで、なんかそんなこと言ってて、その2行めに、

「皆できずこう、明るい未来。」とあるんです。


その、「きずこう」が、もう気になるんですよ。

なぜ、漢字で「築こう」としないのかなあ。


どうしてぼくは、イヤなのか。要は「きず」(傷)が前面に出てきてしまうから。


このコトバ、おそらく語源は、杵(き)で地面を搗く(つく)から来ていると思われます。

なので、ひらがな表記では、「きづく」とするのが本来。

ところが、「づ」の使用はなるべく避けよとの、国語審議会のお達しがつよく効いていて、

世間一般にも、「きずく」が正しい、とされてしまっています。


でもさあ、やっぱり「きず」は、ダメだと思うのですよ。

ぼくだったら、「皆」をひらいて、「築く」を漢字にします。

つまり、「皆できずこう」→「みんなで築こう」、ということ。

改良後のほうが、よっぽどいいでしょう? 「築こう」は読めるはずだし。


これとまったく同じことが、「築く」より使用頻度の高いコトバで、起こっているんです。

それは、「絆」。


これも、語源は「き(生だろうか?いや、違いそうだな)」+「綱(つな)」でしょう。

そうなんです、あいつは綱、であるはずなんです。

だから、語源に忠実にいくと、そこは「きづな」と書くべき。

ところが、一般的な表記は、「きずな」ですよね。


でも、ぼくはすごく違和感をおぼえます。やっぱり「きず」が・・・。

このコトバをもし使うときには、まちがいなく「絆」としますよ。



なんか、いまの表記法、あまりに語源をないがしろにしすぎ、なんじゃないかなあ。

だって、語源にこそ、コトダマが宿っているんだから。

そこをいじっちゃうと、コトバがそこで死んでしまう気がして。


実のところ、「つくづく」か「つくずく」か、とか、頭痛は「ずつう」か「づつう」か、とか、

よくわかんなくなっちゃうことが、時々あるんですよ。


でもやっぱり、「きず」は、おかしいと思う。

表記を原理主義的に守ることより、読み手にどう見えるか、を気にしてほしいなあ。

まあ、そういうのを正していくのも、コピーライターの立派な仕事になるんだけどね。


・・・ああ、街じゅうに赤、入れたいわ~・・・





岡田直也
1955年東京生まれ、札幌育ち。
現在の本拠は大阪・南堀江。
東京・大阪・札幌各コピーライター
ズクラブ会員、エンジン01文化戦略
会議会員、甲南女子大学講師。
各地に私塾を開催、若手の育成にも
力を注ぐ。また年に一度のライブに
命を燃やすミュージシャンでもある。