Room708
名づけて「直也の部屋」。 編集長が、プロフェッショナルな立場から、広告を語り尽くします。

「ニッセイ」のこと 2

2017/01/23

でも、個人的に、歴代のニッセイCMのなかでいちばん印象がつよいのは、

(小さいころから唄ですりこまれてる「日生のおばちゃん」は別として)

谷川俊太郎さんの詩「愛する人のために」をのせたCM

 

「印象がつよい」としたのにはワケがあって、

すばらしいな、と思う面と、ちょっとなあ、という面の両方をもっているから。

 

まず、「ちょっとなあ」の面からいこうか。

オンエア当時思ったのは、谷川俊太郎さんをこんなふうに使っていいの?

こんなベタなもの、谷川さんって書くの? といった、素朴な疑問でした。

同じころ、ネスレ日本だったかな、やはり谷川さんの詩によるCMがあったけど、

(「朝のリレー」というものでした)

そっちのほうがずっといいよなあ、と思ったこと、よく憶えています。

 

では、「すばらしいなあ」のほうを。

それは、「生命保険とは何ぞや?」に挑んでいること。

この切り口って、昔はとくに、あんまり見ることがなかったんです。

最近でこそ、「保険の見直し」だとか、

ソニー生命+ビートたけし「本音で話す価値がある」シリーズとかはあるけれど、

(ちなみに最近のニッセイでも、こんなCMがありましたね)

ニッセイ 「Gran Age『保険嫌いな男』篇」(30秒) CM

その当時は、そんな「保険の効用」的なものはなかった。

もちろん、いまみたいな「保険料の安さ」攻勢もはじまっておらず、

大半が、タレントを起用したイメージっぽいものだった、と記憶しています。

 

そんななかで、ニッセイのこの「谷川俊太郎」は、ちょっと光って見えた。

生命保険のCMとしては、なかなか画期的だったのでは、と思います。

 

 

まあでも、このご時世、「セールスレディ」方向は、ある意味、無難。

そこをニッセイに固められている他の生保は、苦しいんだろうな。

画期的な切り口をほかに探すとすれば、

たとえば保険を「資産」として捉えるとか、

あるいはIRみたいにはなるけれど(IRって、リゾート施設のことじゃないよ)、

保険会社側の「運用」について触れるとか、

なかなかむずかしいところしか、残っていないんじゃないかな。

 

でも、どこかがトライしてみても、観る側にとっては、オモシロイね。

すくなくとも「安い」の連呼を聞かされるよりは、ね・・・。 

岡田直也
1955年東京生まれ、札幌育ち。
現在の本拠は大阪・南堀江。
東京・大阪・札幌各コピーライター
ズクラブ会員、エンジン01文化戦略
会議会員、甲南女子大学講師。
各地に私塾を開催、若手の育成にも
力を注ぐ。また年に一度のライブに
命を燃やすミュージシャンでもある。