Room708
名づけて「直也の部屋」。 編集長が、プロフェッショナルな立場から、広告を語り尽くします。

無記名、のち記名の仕事人生(マジメかっ) 2

2017/01/29

だからずっと、ぼくは「自分の署名」をしたかった。

たしかに、たとえば宣伝会議や広告学校の講師をしたり、

一時、週刊文春やCREAなどに連載をもったり、

会社にいながら、個人活動はけっこうやっていた。

でもやっぱり、組織のなかの人間。そこには限界がある・・・。

フリーランスになりたい、と思った原動力は、

いま思い返すと、じつはそのへんにあったのかな、という気がしています。


さて、いざフリーになって、組織は関係なく、個人の名前で仕事をするようになると、

まさにそれまでとは立場逆転。そこはほんとうに、実感しています。

カッコよくいえば、「責任とリスクを負う」ということなんですが。


たとえでわかりやすい話をすると、サラリーマン時代は、冬のボーナスがあるもんで、

暮れ正月は、一年のうちいちばん、フトコロがうるおっていた。

それが、こんどは「払う側」になっちゃったもんで、

「あれー、減っちゃったなあ」で、年を越すことになるんです。

まあ、そういうことだって、リスクといえばリスクですよ。


でもね、自分で署名をしてゆくと、プロセスにしろ結果にしろ、

とてもわかりやすくなります。

気に入られれば、長く続く。失敗すれば、もう呼ばれない。

まあでも、全般的に、組織に守られていないって、すごくタイヘンだけど、いたって痛快。

なぜもっと早く、会社を飛び出さなかったかな、と思うこともあります。


もっとも、もし20代とか30代前半で独立していたら、

きっとヤマっ気に走って、まったく別の方向に行っていたかもね。

それは、神のみぞ知る、だけど。


                    (つづく)

岡田直也
1955年東京生まれ、札幌育ち。
現在の本拠は大阪・南堀江。
東京・大阪・札幌各コピーライター
ズクラブ会員、エンジン01文化戦略
会議会員、甲南女子大学講師。
各地に私塾を開催、若手の育成にも
力を注ぐ。また年に一度のライブに
命を燃やすミュージシャンでもある。