Room708
名づけて「直也の部屋」。 編集長が、プロフェッショナルな立場から、広告を語り尽くします。

生まれてはじめての、CM企画 1

2016年02月10日
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ぼくのCM事始めというか、そんな話をここらでしてみようかな。


それは博報堂の新人時代、1980年のこと。

同期の大貫くんと2人、先輩のCMプランナーに付いて、

CMづくりを学べ、というミッションが下りました。

クライアントは、キリスト教系出版社「いのちのことば社」。

聖書の普及・販売を中心に、いろんな活動を行っている会社です。

当時、世界戦略の一環として、若者向けにアレンジされた、

「明日へのバイブル」(LIVING BIBLE)という本を本邦でも出すことになり、

ついてはそのCMをつくれ、という話だったのです。


なんか、世界観もCM企画も、はじめまして、なんだけれど、

よっしゃ、いいアイデア出してやろうと思い、

ぼくはコピーを書きまくり、大貫君はビジュアルを考え、というふうに、

とにかくガツガツ、がんばってはみたのです。が、

何回めかの打合せのとき、ふだんは無口な先輩のTさんが、

ふいに、とめどもなく語り出したのです・・・。


「若いやつがさー、バイク停めて砂漠に立ってるんだよ。

そしたらさー、そいつがナイフ出して、手首をスッと切るんだよ。

それで、血がさー、すうっと流れるんだよ・・・」


Tさんは、陶酔したような表情で、しゃべりつづけるのでした。

なんか圧倒されてしまって、新人2人はぐうの音も出ません。

いやいや、これはぼくにとって、カルチャーショックにも近いことでした。

CMをつくる人ってのは、すごい発想をするんだな。

どうやって思いつくんだろう。こいつはかなわない、と思いましたね。


プレゼンテーションは、初めての広告主ということもあり、

数案提示しましたが、この先輩の案をイチオシにして、

先方の日本人責任者の了解を取りつけることができました。

とても質素な感じの事務所だったこと、よく憶えています。

(つづく)





岡田直也
1955年東京生まれ、札幌育ち。
現在の本拠は大阪・南堀江。
東京・大阪・札幌各コピーライター
ズクラブ会員、エンジン01文化戦略
会議会員、甲南女子大学講師。
各地に私塾を開催、若手の育成にも
力を注ぐ。また年に一度のライブに
命を燃やすミュージシャンでもある。