Room708
名づけて「直也の部屋」。 編集長が、プロフェッショナルな立場から、広告を語り尽くします。

生まれてはじめての、CM企画 2

2016年02月13日
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結局その案は、だいたいこんなふうにまとまりました。


一人の若者が、バイクを停めて荒野にたたずむ。

やおらナイフを取り出し、片手を高くあげ、手首をちょっと切りつける。

すると、血が一筋、すうっと流れる。

若者、なにか思い直したようにバイクにまたがり、走り去ってゆく・・・。


そんな映像に、彼の心のコトバが、オフナレで。

「俺は、国を信じない。街を信じない。人を信じない」

そして、決めコトバは忘れたけど、商品カット。

さらにぶらさがりで、若者の彼女とおぼしき女性が出てきて、ひと言。

「信じてるわ、ジョニー・・・」


なんか、濃いでしょう? いま思い返しても、ゾクゾクします。

先輩って、すげえ。ほんとに、そう思いました。


さらにこのTさん、もっとすごいな、と思ったのは、

音楽にぜひ、あのボブ・ディランを起用したいと考えて、

楽曲使用依頼の手紙を、ディランに直接書いて送ったことでした。

あの当時のボブ・ディランは、キリスト教にかなり傾倒していて、

信仰一色の「SAVED」なるアルバムを、リリースしたばかり。

どうも返事はもらえなかった、らしいのですが、

またすごいことやるなあと、Tさんには感心しきり、でしたよ。


さてさて、最終プレゼンは、そのクライアントの大元である、

外国人幹部たちが来日のうえで、全編英語で行われました。

そんな、「国際的」な会議なんて、とにかく初めてのことだったんで、

末席に座らされたぼくは、かなり緊張していて、

(急に振られたら、英語どうしよう、みたいな。新人に振るわけないか)

どんなやりとりが交わされたのかは、まったく憶えていませんが、

幹部のひとりが、ぼくらのイチオシ案を、

「モールーサイクル・カーンセプト」とさかんに呼んでいたのが、

妙にアタマにこびりついているんです。


その「モールーサイクル・カーンセプト」、無事に通りました。

たしか、静岡エリアでのテストマーケティングを経て、

すこしだけオンエアされたのではなかったかな。


まあ、参画したのは企画段階とプレゼンだけ。

肝心の、撮影にも編集にも立ち会っていないんで、

「やった感」は、正直言ってあまりなかったんだけれど、

CM企画の端緒を垣間見られたことは、すごくいい勉強に。

ぼくにとっては、強烈な「CM事始め」でした・・・。


ところで、くだんの「明日へのバイブル」、

まだちゃんと売ってる、みたいですよ。




岡田直也
1955年東京生まれ、札幌育ち。
現在の本拠は大阪・南堀江。
東京・大阪・札幌各コピーライター
ズクラブ会員、エンジン01文化戦略
会議会員、甲南女子大学講師。
各地に私塾を開催、若手の育成にも
力を注ぐ。また年に一度のライブに
命を燃やすミュージシャンでもある。