Room708
名づけて「直也の部屋」。 編集長が、プロフェッショナルな立場から、広告を語り尽くします。

「タバコCM」の、話をします。 1

2016/02/19

こんなふうに、昔の引き出し開けて、いろんなこと書いていくとね、

完全に時間軸を行ったり来たり。タイムスクープハンターになった気分、ですね。


そこで今回は、ワープ先を1990年代後半に合わせてみます。

JT、なかでも「キャスター」CM制作の話をしましょうか。

なにしろ当時は、業界自主規制によるタバコCM打ち切り('98)の直前。

ありったけをつぎ込んで、大々的にCM打ってやろう、といった機運が、

クライアントにも、みなぎっておりました。


あのころのJTは、セブンスター・ファミリーが中心。その次にくるのが、キャスター。

ハイライト、ピース、ホープといった銘柄は、タール値が高いこともあり、

趣味的なポジションにあり、徐々にシュリンクしていった感があります。


そんな中、キャスターの扱いをめぐって、大プレゼンが行われました。

ぼくが「まあるい一服」なる一行をしたため、それが決め手となって競合に勝ち、

アカウントを獲得することができた(と聞いています。ホントのようです)。


で、CM企画は、こんな感じ。

オーストラリアの大陸横断鉄道に乗り込んだ日本人青年、を主人公に立て、

その旅すがら、「まあるい一服」を味わう、というもの。

砂漠のまん中で、羊の大群をやり過ごすために長めの停車、そこで一服。

先頭車両の展望席で、地平線のかなたに沈みゆく夕陽を眺めながら、一服・・・。

グラフィックは、オレンジ基調のなかに列車と夕陽を配する構成で、いきました。


このCMづくりのために、主人公の旅の目的を明らかにし、行程をきっちり決める。

そんな作業が、クライアントから求められていました。実際のロケを前にしてね。

そこで、ざっとこんな話を作り上げ、写真資料もはいった分厚い企画書を提出。曰く、


「主人公はセミプロのカメラマン。時間を作っては世界各地をまわり、写真を撮っている。

今回は、19世紀イギリスの探検家、エドワード・ジョン・エアの足跡をたどる旅。

オーストラリア東海岸から鉄道で大陸を横断、西海岸に至る撮影旅行を企てた・・・」


このエアという人物、いまも「エアーズロック」にその名を残しています。

(もっともこの名所、アボリジニの古称に戻そう、という動きがありますが)



そう、繰り返しにはなるけれど、時はCM打ち切り直前。

バブリーな金の使いかたといったら、ハンパなかったなあ。

列車を丸ごと借り切ったり、羊を何百頭も手配したり・・・ですもんね。

なにしろ、シナハン・ロケハンだけで、ン千万もかかった、というのだから・・・。


                       (つづく)

岡田直也
1955年東京生まれ、札幌育ち。
現在の本拠は大阪・南堀江。
東京・大阪・札幌各コピーライター
ズクラブ会員、エンジン01文化戦略
会議会員、甲南女子大学講師。
各地に私塾を開催、若手の育成にも
力を注ぐ。また年に一度のライブに
命を燃やすミュージシャンでもある。