Room708
名づけて「直也の部屋」。 編集長が、プロフェッショナルな立場から、広告を語り尽くします。

いまなぜ、CM Funなのか 2.

2015年12月02日
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ところで、1980年代ころまでは、TVCMの発信する世界観が、
だんぜん世の中をリード
していました。
こんな商品どう? こんな生活おシャレでしょ? がけっこう話題になっていた。
いわゆるサブカルチャーの旗手、の感が、たしかにあったのです。

けれどその後は、画期的な新商品などはなかなかつくれなくなったことに加え、一般生活者
のほうが多くの情報を手に入れ、さまざまなライフスタイルが確立したことも相まって、
もうCM側が主導権を握ることができなくなっていったのですね。
いまや、すべてのコミュニケーション活動のなかで、CMの占める地位はかなり後退した、
と考えざるを得ません。

東日本大震災のときが、象徴的でした。
ぼく個人としても、広告じたいの無力さを痛感したし(すくなくとも歌の「歌詞」より効くコピーは書けない、と思った。負けたと思った)、TVだってCMオンエア自粛の風が吹きまくり、ニュースのあいまにACばっかり、てなことにになりました。
非常事態下では、広告ってCMって、あるイミ機能不全になることが露呈されてしまったのだ、
と思ったわけです。

そこからリスタートしよう、としたとき、CMの役割がちょっと動いてくれればよかったのだけれど、一部を除き、根本はなにも変わらなかった。
コストパー重視、売らんかな重視の
ままでしたね、戻ったところは。
震災後、パラダイムチェンジが結局は行われることのなかった国の諸施策と、まったく同じです。

ただね、CMがいまのまま、いま主流のメディアをつかい続けることにしがみつかない限り、
前述したような「うねり」のなかで、ふたたび輝きを取りもどすチャンスは必ずある、と
確信しています。
とくに、CMがほんとうに面白かった時期をよく知り、いろんな制作に携わってきた、ぼくのような世代は、そこを期待してやまないのです。
また、次世代のひとたちには、もっとCMとの接点をふやし、楽しみ方を知ってもらって、
いままでの慣習にとらわれない、新しいつくりの、新しいCMをどんどん生み出していってほしい、そして黄金時代をふたたび築いてほしいと、切に思うのです。

CMよ、ふたたび夢や希望をつたえるメッセージたれ! ということでしょうか。
岡田直也
1955年東京生まれ、札幌育ち。
現在の本拠は大阪・南堀江。
東京・大阪・札幌各コピーライター
ズクラブ会員、エンジン01文化戦略
会議会員、甲南女子大学講師。
各地に私塾を開催、若手の育成にも
力を注ぐ。また年に一度のライブに
命を燃やすミュージシャンでもある。