Room708
名づけて「直也の部屋」。 編集長が、プロフェッショナルな立場から、広告を語り尽くします。

「アルコール濃度」調節! 1

2016年04月01日
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今日は、「アルコール濃度」の話をしよう。

題材は(CMではないけれど)「GRAND KIRIN」のグラフィック広告。


米大統領選と、自分たちの毎日のどこが関係あるのかな、などと思いつつ…私の夜の時間。


これ、一瞬大人っぽいキャッチのように見えたんで、最初は、おう、と思った。

でも、よくよく咀嚼してみると、そうでもないような・・・。

酒に関してはどうしても、昔の秀作と比べてしまうんで、

ぼくなんかにかかったら、かわいそう、といえばかわいそう、なんだけど。

まあでも、最近の広告にはめずらしい「はいり」、していますね。


状況は、ちゃんと浮かんできます。

たぶん、CNNニュースとかNHKのBSが、TVに映ってる。

そこで「私」は、それと対峙するようにして、ビールを飲んでいる。

たしかに、おだやかでちょっと上質な、夜の時間ではあります。


そう、言いたいのは、この「対峙」の感覚です。

これがもし、ホビーに打ちこんでたり、あるいはパックでもしていたり、

つまり、「アルコール濃度0%」だったら、もっと突っ放すんだろうね。

「まだ予備選の段階なのに、なんであんなに騒ぐんだろ」とか。


ただ、ビ-ルとて立派な「酒」には変わりないんで、

グランドキリンを飲みながら、ということになると、現実とすこしは向き合うことになる。

ぼくはこれを、「アルコールによる酔い」のしたたかな表現、と見るわけです。


かりに、焼酎とかウイスキーとか、もっと強い酒だったら、どうなるだろうか。

「対峙」をこえて、「介入」するんだと思うわけです。

「もしトランプ氏が大統領になったら、えらいこっちゃなあ」

みたいな妄想が、はじまると思う。うん、まちがいなく。

酔いは、確実に妄想を呼びおこす。まして独り飲みなら、なおさら。

そのあたりの調節が、この広告はうまくいってるかな、と感じています。

ビールという、比較的アルコール濃度の低い酒の世界観、ということで。


                               (つづく)




岡田直也
1955年東京生まれ、札幌育ち。
現在の本拠は大阪・南堀江。
東京・大阪・札幌各コピーライター
ズクラブ会員、エンジン01文化戦略
会議会員、甲南女子大学講師。
各地に私塾を開催、若手の育成にも
力を注ぐ。また年に一度のライブに
命を燃やすミュージシャンでもある。