Room708
名づけて「直也の部屋」。 編集長が、プロフェッショナルな立場から、広告を語り尽くします。

コワイコワイ、でもオモシロイ、「誤植」の話 2

2016年04月13日
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それではいよいよ、「誤植」の実例紹介といこう。


まず、けっして笑えないネタから。それは、「値段間違い」。

前回、文字がポロッと落ちる、という話をしましたが、原因はまさにそれ。

「0」がひとつ少ない状態で、掲載されてしまったりするわけです。

そうすると広告主は、その値段で商品を売らねばならなくなるんです。

つまり、¥100,000が¥10,000になるってこと。タイヘンな損失ですね。

その昔はちょくちょくあったようで、代理店が全額補償、なんて話も聞きました。


その「欠落」で、こんどはじつにオモシロい、逸話を。

ぼくが入社1~2年めのころ、同じチームの先輩コピーライターが、やらかしたんです。。


商材は、東芝のビデオ。

当時は、ホームビデオがちょうど普及してきたころで、

まだ「携帯用ビデオ」という名称が一般的でした。

その広告のボディコピーでなんと、「携帯用ビデオ」の「オ」の字が落ちた!

これは、すごいですよね。商品がみごとにガラリ変わっちゃいました。

先輩、やるもんですなあ。


かくいうぼくも、何回かは誤植、やってます。そのうちの武勇伝NO.1を、披露しましょう。

トヨタ・マークⅡを担当していたときのことでした。

雑誌広告のボディに「サルーンの理想の姿がここにある」というくだりがあったのですが、

なんとなんと、「姿」が「婆」へと、すがたを変えていたのでした!

理想のババア? 誰やそれ?


これは、書き間違いではなく、あきらかに写植屋さんの「拾い間違い」です。

そしてとうぜん、ぼくの校正ミスでも、あるわけです。

得意先には、丁重に謝りに行ったのですが、先方も笑ってしまい、結果、無罪放免でした。

まあ、値段や商品名といった核心部分ではなかったために、セーフ、だったんです。

でも、あっちゃならないことですけどね。


そうそう、校正は、コピーライターの自己責任、なんです。

代理店にもプロダクションにも、専門の校正マンなんて、いません。

ところが、媒体社には専門家が存在します。

雑誌の場合は、本誌部分と広告は別進行なので、

校正マンは、広告にはなかなか関われない、というのが実際のところ。

なので、ぼくの「ババア」みたいなことは起こりうるわけですが、

新聞社は、記事と広告は同一紙面なので、広告も、校正の手にかかることになります。

誤植ばかりではなく、つかう言葉のネガチェックなども厳密に行っています。

送り仮名に至るまで、しっかり見てるんですね。

そのおかげで、「助かった!直してください」 ということが、2度ほどありましたよ。


そういうのを、「紙対応」というのですね。





岡田直也
1955年東京生まれ、札幌育ち。
現在の本拠は大阪・南堀江。
東京・大阪・札幌各コピーライター
ズクラブ会員、エンジン01文化戦略
会議会員、甲南女子大学講師。
各地に私塾を開催、若手の育成にも
力を注ぐ。また年に一度のライブに
命を燃やすミュージシャンでもある。