Room708
名づけて「直也の部屋」。 編集長が、プロフェッショナルな立場から、広告を語り尽くします。

ぼくら制作者は、「オモシロイ」を目指す。

2016年04月16日
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次に、広告業界、とくにクリエイティブに関しての「価値基準」の話をしようと思います。

いやいや、そんなムズカシイことではなく、

「いちばんのホメ言葉って何か」と置き換えてもいい。


それはもう、答えが決まってます。 「オモシロイ」です。

つまり、コピーでも企画でもビジュアルでも、

「オモシロイかオモシロくないか」がすべてである、ということなんです。


この「オモシロイ」はべンリな言葉で、じつにいろんな意味があります。 

新しいもの、強いもの、カッコいいもの、笑けるものはもちろん、

技巧的にとても上手だったりする場合にも使う。

いや、泣かせるものだって、この言葉で表わしてしまうこともあるんです。


それに対し、この業界におそらく存在しない、と思われる基準が、

「正しいか、正しくないか」というもの。 なぜかほんとに、そうなんです。

これ、ぼくの経験に照らしても、「それは正しいよ、でもね・・・」というふうに、

むしろ否定的に用いられることのほうが、圧倒的に多かったような気がするのです。

「広告表現に正解なんてない」とみんなが思ってるから、なのかなあ。


ぼくらの日常といえば、案出しなんかのときに、正しいこと言う人間よりも、

間違っていようが声の大きな人間が勝つ、という真理がある。

そうなんです。「正しい」なんて、ぼくらにとってはどーでもいいこと、なんです。


だから、いわゆる「コンセプト」なる文言があるけれど、

あれは確かに、正しいこと言ってるぶん、まったくオモシロくない。

ちっともクリエイティブ、じゃないんですね。

その「コンセプト」を下敷きにして、いかに跳ぶかが、ぼくらの使命なんです。

それから、正論を押しつけてくるCMなんかが時々あるけれど、

(はっきり言えば、ACとかね)それらも全く、オモシロくない。


まあ、ぼくら制作者はどこかでみんな、「正しい」ことに逆らってる人種、なのかもね。



さて、ほかに基準があるとすれば、それは「上手かヘタか」というもの。

これは、確かにある。そりゃ、「上手」とホメられればうれしいに決まってるからね。

でも、上手ってのは「あがり」に近い。なかなか使えるもんじゃない。

むしろ現場では、「ヘタだけどオモシロイ」というのが、

けっこういい線いってる、という意味のホメ言葉として流布していますね。

とくに若い人に対しては、なかなかのホメになるんじゃないか、と思います。



でもやっぱり、「オモシロイ」に勝るホメ言葉、価値基準って、ないと思うな。

なのでぼくらは日々、オモシロイことをうんうん考え、悩み、

オモシロイ、と言ってもらえるようなものを作ろうとしてる、ってことになります。

なんとも単純な、わかりやすい人種、でしょう?


あ、もちろん、「オモロイ」とは全然ちがいますよ。意味が。

そのへん誤解すると、おかしな方向に行ってしまうので、要注意です。


岡田直也
1955年東京生まれ、札幌育ち。
現在の本拠は大阪・南堀江。
東京・大阪・札幌各コピーライター
ズクラブ会員、エンジン01文化戦略
会議会員、甲南女子大学講師。
各地に私塾を開催、若手の育成にも
力を注ぐ。また年に一度のライブに
命を燃やすミュージシャンでもある。