Room708
名づけて「直也の部屋」。 編集長が、プロフェッショナルな立場から、広告を語り尽くします。

「競合プレゼン」、どうにかならない? 2

2016年04月22日
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制作者の立場から言わせてもらえば、

競合より「指名」のほうが、はるかに力が出るんです。

出稿が決まってる、ということだけで、やたらとモチベーションが上がる。

そういう場合は、安心して手を抜くんじゃないか、と思われがちだけど、

とんでもない! まったく逆です。

「当てにいく」ことなどまったく考えず、とことんやってやろう、

広告主と徹底的に議論しよう、という気になる。

 

世の中のすべての広告がもし、そういう環境下で作られるとしたなら、

アウトプットの出来は、今の数倍よくなるのではないか・・・。

それはけっして妄想ではない、と思うのです。

 

 

もっとも広告主にとっては、競合プレゼンはまさに、外部委託、

つまり「アウトソーシング」、ということになるのでしょう。

 

そう捉えたとするなら、こんなことが理想形、なんじゃないかなあ。

どういうことかというと、まず広告主のやりたいことがしっかり決まっていて、

それを実現するために、ふさわしい代理店やスタッフを集めてくる、ような。

つまり「プル型」のアウトソーシング、ですね。

このスタイルの広告主は、いっときより減ってはいるものの、

今でもたしかに存在しています。

そういう場合、競合ではなく、明らかに「指名」です。

そしてさらに、そういうプロジェクトの打ち出すコミュニケーションには、

秀逸なものが多い。これも事実です。

 

ところが、その逆のアウトソーシング=プッシュ型のほうが、

現実には多い、と言わざるを得ません。

広告主の内部に、仮説を立てられる人がいなかったり、

広告主じたいの方針が定まっていなかったりすると、

コトバは悪いですが、「丸投げ」という事態が起こってしまいます。

 

こういう状態にある広告主は、チョイスする眼力も曇りがち。

結果、いちばん無難な案、無難な代理店しか選べなくなってしまうものです。

ぼくが参加したものだけでなく、見聞きした競合プレゼンのうち、

かなりの数が、残念ながら、ここに陥りました。

 

ただ、ひとつ断っておかねばならないことがあります。

それは、競合プレゼンの勝ち負けを決める基準が、

ぼくらプレゼンに参加する側にはまったくわからない、ということ。

 

それぞれの広告主の事情はとうぜん、まったく違います。

そのときどきの社会情勢によっても、基準は変動するでしょう。

また、社内各部署の思惑なんかも、けっこう結果に反映されます。

 

とにかく、「読めない」ことが多すぎるんです。

不確定要素ばかり、ということです。

なので、どうしても読もうとして「当てにいく」ことになる。

で、ハズしてしまう・・・この繰り返しですよ。自嘲的に言うなら。

 

じゃあ、ぼくら制作者は、どうするか。

クリエイティブで突き抜けてやろう、と思うわけです。

つよい企画で、他社を凌駕してやろう。そう思うのはとうぜんです。

 

ところが・・・クリエイティブが争点にならないことも、多々あるわけで。

いい企画ができたときほど、そういうことになっちゃったりするんですね。

 

いま、ほとんどの広告主は「合議制」のようです。

何人かが平等に票をもち、その広告主独自の採点表があり、という感じです。

なんか、スルドイ案も丸められてしまう気がします。

 

・・・ということで、なんとかならぬか、競合プレゼン。

次の世代のクリエイティブ環境を整える意味でも、

そこ、全力で変えていかねばならない、と思うのですが・・・。

岡田直也
1955年東京生まれ、札幌育ち。
現在の本拠は大阪・南堀江。
東京・大阪・札幌各コピーライター
ズクラブ会員、エンジン01文化戦略
会議会員、甲南女子大学講師。
各地に私塾を開催、若手の育成にも
力を注ぐ。また年に一度のライブに
命を燃やすミュージシャンでもある。