Room708
名づけて「直也の部屋」。 編集長が、プロフェッショナルな立場から、広告を語り尽くします。

プレゼンテクニックの、お話

2016年04月25日
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「競合プレゼン」の流れで、こんどは「プレゼン」自体について、です。

 

以前、よく使っていた「技」の話、なんですが、

3方向をプレゼンで提案するとしたとき、通常は、

 

「これ、やりたいなあ」出来がいいと思われる、A案。

「まあ、これなら世の中に出てもいいかな」という、まあまあのB案。

「これは当てにいきすぎ。やりたくはないなあ」のC案。

 

だいたいが、こういう構成になるんじゃないか、と思います。

この組み合わせで、プレゼン本番ではとうぜん、Aを推すことになるわけですが、

じっさいには、なかなかA案を採ってはもらえない。

よくてB案、ヘタするとC案に決まってしまう。

そんな経験を、繰り返し味わったんですね。

 

そこであるとき、ぼくは、ひとつの作戦に出た。

この、ABCのうちのCを思いきって捨て、

かわりに、A案よりもっとブッ跳んだ、X案なるものを考える。

つまり、XABという構成に変更するわけです。

そして本番では、このX案をつよく推してみる・・・。

そうすると意外にも、ほんらいおススメのA案に、落ち着くんです。

Xまではできないけど、A案なら」って判断を、こちらから導くわけです。

 

これ、テクニックとして、おススメです。

X案を、ダミーとして「目くらまし」に使うわけですね。

 

ただし、それこそ競合プレゼンのときは、なかなか使えない。

まあ、じっさいには営業担当が、X案を出すことをなかなか許してくれないでしょう。

かつ、広告主と良好な関係が築けていないと、ムリでしょうね。

X案のブッ跳びの程度にもよるんでしょうけど、

「なに考えてる!出入り禁止!」のリスクもあるわけで。

 

でも、ふと思うのだけれど、こういうプレゼンテクニックって、

古き良き時代のエピソードに、なりかかっているのかなあ。

これらはたいていが、プレゼンとはいえ、広告主と膝詰め状態で、

しかも、デザイナーが手描きでつくったサムネイルを介して、

みたいなケースだったような憶えがあるので。

いまのように、ツールなどが高度化・精密化し、

プレゼンじたいがどんどんオフィシャルに、フォーマルになってしまうとねえ。

しかも、何回も言うけれど、競合ばっかりの現状では、

うーん、もはやムリなのかも知れないなあ。

 

やっぱり、結論はまたここに戻ってきてしまうのだけれど、

こういうことも、競合プレゼンの負の面、といえそうな気がするんですよね。

 

 

それはそれとして、こんなこともあるのかも知れない。いや、あったらいいな。

「ダミーのつもりが、なにを間違ったか、そのX案的なものが採用され、

世に出てしまったケースが、過去になんどもあった。

そしてそれが、世の中には大いにウケた。

かつ、不朽の名作として、のちにずっと語り継がれている・・・」。

 

そんな想いをめぐらすのも、ちょっと楽しいですね。

名コマーシャルを追跡調査すると、あんがいいろいろ見つかったりして・・・。

 

 

 

 

岡田直也
1955年東京生まれ、札幌育ち。
現在の本拠は大阪・南堀江。
東京・大阪・札幌各コピーライター
ズクラブ会員、エンジン01文化戦略
会議会員、甲南女子大学講師。
各地に私塾を開催、若手の育成にも
力を注ぐ。また年に一度のライブに
命を燃やすミュージシャンでもある。