Room708
名づけて「直也の部屋」。 編集長が、プロフェッショナルな立場から、広告を語り尽くします。

自画自賛のインフォマーシャル、多すぎです!

2016年05月13日
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さて。

最近、というかここ数年のTVCMに顕著、なんだけど、

自画自賛のインフォマーシャル、ほんとうに多いなあ・・・。

コマーシャルシーンって、こんなんだったっけ、と思うほどに。


たとえば、ネット系の損保なんて、みんなそう。

条件の良さと低価格を、こぞって主張しあってるって感じ、ですね。

まあ、生保のほうは、企業広告的というか、ブランド重視のつくりが主流なんだけど、

損保はなんで、ああなっちゃうのかな。


で、ぼくはそこで思うのだけれど、

そういう、ただ一方的に広告主が言いたいことだけ言うのを回避する手だてとして、

役割を果たすのが、「コピー」なんじゃないかな。

べつにストレートなトークがすべて悪い、というわけじゃないんだけど、

一行のいいコピーさえあれば、一方的にはならずに済むのでは、とつくづく思います。

あの手のCM、はたしてコピーライターがちゃんと仕事してるのか、

疑いたくもなる、って感じです。


さらに進んで、そういった「広告主目線」を、「受け手目線」に転換してあげる。

これこそ、重要なコピーライターの役割なんだ、と思うのです。


たとえば、こういう話をすると、わかりやすいかな。

JR東海の有名な「そうだ、京都 いこう。」なんだけど。

広告主目線で書けば、「さあ、京都へ行きましょう」みたいになるはず。

一方的なストレートトークなら、とうぜんそうなりますね。

でも比べれば一目瞭然、「そうだ~」のほうが100倍深いわけで。

「そうだ」が、気づき、リマインドになって、受け手の気持ちを動かすコピーになってる。


それから、JR東日本の、「行くぜ、東北」もそう。

ボディコピーを読めばわかるように、若者向けの広告なので、

「行くぜ」みたいなコトバづかいになっているんだけど、

ここが、効いてるんですね。 「レッツ!」のニュアンスになってるし、

それこそ「いま行かなくて、いつ行くんだ」の気持ちもはいってる。

うん、「行こうよ、東北」じゃ、ダメなんですね。


ようは、だいじなコピーライターの仕事として、「受け手目線をつくる」があると思うわけです。

ぼくらは、ここを怠ってはいけない。

いまお茶の間にハンランしているインフォマーシャル的なものは、

明らかに、そこの努力が欠けていますね。


とはいえ、これだけ主流になっちゃったりすると、

それじたいが、ひとつのスタイルとして確立するんじゃないか?

でもそれは、ぼくに言わせれば、あってはならないこと、だと思いますよ。


いや、もっと穿っていえば、V局のCMは今後、そういう役目になっていくのか・・・。

そして、どんどん、シュリンクしていくのか・・・。

わあ、なんと悲観的な・・・。




岡田直也
1955年東京生まれ、札幌育ち。
現在の本拠は大阪・南堀江。
東京・大阪・札幌各コピーライター
ズクラブ会員、エンジン01文化戦略
会議会員、甲南女子大学講師。
各地に私塾を開催、若手の育成にも
力を注ぐ。また年に一度のライブに
命を燃やすミュージシャンでもある。