Room708
名づけて「直也の部屋」。 編集長が、プロフェッショナルな立場から、広告を語り尽くします。

ダイレクトショッピング 1

2015年12月10日
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さて、話が及んだついでに、「ダイレクトショッピング」についてもう少し。

前の号で、「今後ますます盛んになる」と書いたけれど、なぜだかわかりますか? 
答えは単純です。
それは、CMが効いたかどうか、数値で表わせるから。
ようするに、レスポンスの数と販売実績、そしてその関係が一目瞭然だから、です。

ふつうのCMは、そうはいかない。
ダイレクトではなく、途中に流通がはさまったりすると、その商品がよかったのか、
広告主のイメージがよかったのか、はたまたスーパーや販売店など小売の功績なのか、
いや、セールスマンが男前だったからだとか、よくわかんなくなっちゃうわけです。
ましてや、CMがどれくらい売ったか、なんてことは、ますますわからない。
まあ、企業CMをさかんに打って、リクルーターの数を調べる企業があるとは聞きますが、
それとて、ほんとうにCMのコンテンツが来社数に直接反映されたのかどうか、
かなりアイマイなもんですね。

その点、ダイレクトショッピングは、きわめて効率的といえます。
広告主にとっても、都合がいい。社内を回すのにも、引き継ぎにもラクです。
だから、この手法は衰えることがないだろう、と言ったんです。

でも、「ちょーっと、待ってください」!

そんなCMばっかりになったら、どうですか? ちょっと想像してみてください。
世の中のCMシーンは、かなりやせ細ったものになってしまいます。そう思いません?
人びとの心にさざ波を立て、想像力を呼び覚まし、夢や希望を与えてくれる…。
そんな、ひとつの文化としてのCM世界が、崩れ去ってしまう。
そればかりか、価格や利便性だけの訴求は、
広告主が、つくり手がほんとうに伝えたかった「想い」さえ、置き去りにしてしまう。

そんな気がしてならないのです。
ぼくら制作者は、機能的・効率的というコトバに、かなりのキュークツさをおぼえます。
数値なんかで割り切れないものを作ろうといつも頑張ってるんだ、とも。
そんなこと言ったら、ダイレクトショッピングCMを作るひとたちにきっと失礼だし、
君の感慨はもうアナクロニズムだよ、とたしなめるひとも、出てくるかも知れない。
だから決して否定はしないし、否定することもできないんだけど、
ひとつの「手法」にとどめておいてほしいと思うのは、ぼくだけかなあ…。
岡田直也
1955年東京生まれ、札幌育ち。
現在の本拠は大阪・南堀江。
東京・大阪・札幌各コピーライター
ズクラブ会員、エンジン01文化戦略
会議会員、甲南女子大学講師。
各地に私塾を開催、若手の育成にも
力を注ぐ。また年に一度のライブに
命を燃やすミュージシャンでもある。